育成就労制度とは?技能実習との違い【2027年4月施行】

2024年6月の改正法公布を受け、2027年4月1日の施行で技能実習制度は廃止され、以後の新規受入れは原則として「育成就労制度」に切り替わります(施行日前から在籍する技能実習生には経過措置があります)。

技能実習制度は「技能移転による国際貢献」を掲げてきましたが、現場では慢性的な人手不足を補う制度として運用され、目的と実態の乖離が長年指摘されてきました。育成就労制度は、この問題意識を前提に、人材育成と人材確保を制度目的として正面から位置づけ直した制度です。

転籍(転職)の扱い、日本語要件、特定技能への移行要件など、企業実務に直結する変更点も入ります。施行まで1年2ヶ月を切った今、この記事では2026年2月時点で公表されている法令・方針・運用要領の範囲で、押さえるべきポイントをまとめます。

目次

育成就労制度とは

育成就労制度は、日本の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする外国人材の受入れ制度です。

2024年6月21日に公布された改正法(令和6年法律第60号)等により、技能実習制度を発展的に解消する形で創設されます。制度の詳細は関係省令・基本方針・分野別運用方針・運用要領等で順次具体化されていきます。

施行日は、2025年9月26日の閣議決定により2027年4月1日に確定しています。

制度の骨格

  • 在留資格:「育成就労」(施行により新設)
  • 在留期間:原則3年(3年以内)
  • 目標:3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を習得させる
  • 受け入れ対象分野:特定技能制度の特定産業分野と原則一致(国内での育成になじまない分野は対象外)

なぜ技能実習制度は廃止されるのか

技能実習制度は「技能移転による国際貢献」を目的として設計されました。しかし実態は、日本国内の人手不足を補う労働力として機能しており、制度目的と運用実態の乖離が繰り返し問題視されてきました。

さらに、技能実習生の権利保護や仲介構造をめぐる課題が国内外から批判を受け、制度の抜本見直しが避けられない状況となりました。育成就労制度は、こうした課題に対応しつつ、受入れを現実に即した形へ組み替えるための制度です。

技能実習制度との比較表

(出典:公益財団法人国際人材協力機構(JITCO)、2025年4月末時点)

項目技能実習制度育成就労制度
目的人材育成を通じた国際貢献人材育成と人材確保
在留資格技能実習1号・2号・3号育成就労
期間1号(1年)、2号(2年)、3号(2年)原則3年
転籍やむを得ない場合を除き、原則認められないやむを得ない場合に加え、一定期間経過後は本人意向による転籍も可能
前職要件/復職要件要件が設けられていた(制度運用上の前提)撤廃
日本語能力の要件介護以外は原則なしあり(就労開始時・1年経過時・特定技能移行時の3段階)
特定技能1号への移行同一職種等の場合、試験免除の扱いがある原則として試験合格が必要

主な変更点を詳しく解説

① 制度の「目的」が変わる

技能実習制度は「国際貢献」を目的としていました。

育成就労制度では、目的が「人材育成」と「人材確保」に置き換わります。人手不足分野の担い手を育て、特定技能へつなげる制度として設計されています。

② 転籍要件が緩和される

技能実習制度では、実習先の倒産などのやむを得ない場合を除き、転籍は原則できませんでした。

育成就労制度では、やむを得ない場合に加え、一定要件を満たすと本人意向の転籍も可能になります。転籍が可能となる就労期間は、分野ごとに1年〜2年の範囲で定められます。

転籍の要件は、①就労期間、②技能等の水準、③転籍先の適正性が基本になります。

また、転籍の際の職業紹介は、監理支援機関・外国人育成就労機構・ハローワークが支援する枠組みとされ、当分の間、民間職業紹介事業者の関与は認められない整理です。

③ 日本語能力要件が新設される(3段階)

技能実習制度では介護分野を除き、日本語能力要件は原則ありませんでした。育成就労制度では、就労開始から特定技能への移行までを見据えて、3段階の日本語要件が設けられます。

タイミング求められる日本語能力
就労開始時までA1相当以上(JLPT N5等)の合格、または同等の日本語講習の受講
就労開始後1年経過時技能検定基礎級等日本語試験(A1〜A2相当の範囲で分野ごとに設定)の合格
※本人意向の転籍の条件にも位置づけられます
特定技能1号への移行時技能検定3級等または特定技能1号評価試験A2相当以上(JLPT N4等)の合格

(出典:JITCO、2025年4月末時点)

なお、特定技能1号への移行に必要な試験等に不合格となった場合、再受験に必要な範囲で最長1年の在留継続が認められる整理です。

④ 特定技能1号への移行に「試験合格」が必要になる

技能実習制度では、一定の条件下で試験免除の扱いがありました。

育成就労制度では、技能検定3級等または特定技能1号評価試験への合格が原則必要になります。3年間の育成期間は、「試験合格までを逆算して設計する」前提で組む必要があります。

⑤ 前職要件・復職要件が撤廃される

技能実習制度では、来日前の職歴等(前職)や、帰国後の復職等を前提とする運用がありました。

育成就労制度では、こうした前職要件・復職要件はいずれも撤廃されます。

受け入れ方式│単独型と監理型

育成就労制度の受け入れ方式は、以下の2種類です。

① 単独型育成就労

日本の企業等(単独型育成就労実施者)の外国にある事業所の職員が、日本にある事業所で技能を修得しながら業務に従事します。

② 監理型育成就労

事業協同組合・商工会等の非営利法人(監理支援機関)が受入れを支援し、その傘下の企業等(監理型育成就労実施者)で技能を修得しながら就労します。中小企業はこの方式が中心になる見込みです。

育成就労計画と外国人育成就労機構

育成就労実施者は、育成就労外国人ごとに「育成就労計画」を作成し、認定を受ける必要があります。監理型の場合は、監理支援機関の指導のもとで計画を作成します。

認定・監督等を担う「外国人育成就労機構」は、現行の外国人技能実習機構(OTIT)を改組して設置される予定の機関です。育成就労計画の認定に加え、特定技能外国人の相談援助等も担う方向で整理されています。

監理支援機関の許可制について

技能実習制度の監理団体に相当する「監理支援機関」は、新たに許可制となります。

許可基準には、監理支援事業の遂行能力や財政基盤に加え、外部監査人の設置などが含まれます。また、監理支援機関は受入れ企業と密接な関係を有する役職員の関与制限が設けられ、監理支援責任者の選任も必要とされます。

重要: 現在の監理団体が自動的に監理支援機関になれるわけではありません。監理支援事業を継続するには、新たに許可を受ける必要があります。

受け入れ対象分野(2026年1月23日閣議決定)

育成就労制度の受け入れ対象分野(育成就労産業分野)は、2026年1月23日の閣議決定により分野別運用方針が決定されました。特定技能制度の特定産業分野と原則一致させつつ、国内での育成になじまない分野は対象外とされています。

現時点での育成就労産業分野は以下のとおりです(出典:出入国在留管理庁 分野別運用方針)。

介護 / ビルクリーニング / リネンサプライ / 工業製品製造業 / 建設 / 造船・舶用工業 / 自動車整備 / 宿泊 / 鉄道 / 物流倉庫 / 農業 / 漁業 / 飲食料品製造業 / 外食業 / 林業 / 木材産業 / 資源循環

注意: 特定技能の対象分野である航空および自動車運送業は、育成就労産業分野としては設定されていません。

技能実習との移行期間について

施行日(2027年4月1日)以前から技能実習を行っている場合、施行後も一定の経過措置により技能実習制度の枠内で在留・就労が継続されます。一方、技能実習の在留資格から「育成就労」へ切り替えて移行するルートは想定されていないため、既存実習生の取扱いと新規受入れの取扱いを分けて整理する必要があります。

現在技能実習生を受け入れている企業は、既存の実習生は技能実習のルール(経過措置を含む)これからの新規受入れは育成就労のルールという二段構えになる点を、社内の運用に落とし込むのが現実的です。

企業が今から確認すべきポイント

2025年9月30日に関係省令等が公布され、2026年1月23日に分野別運用方針が決定されています。加えて、運用要領はOTITで公表済みです(今後、更新される可能性があります)。現段階で企業が先に確認しておくべき点を挙げます。

① 自社の業務が育成就労産業分野に該当するか確認する
分野別運用方針で定められた17分野に自社の業務が入るかを確認してください。特定技能の分野と完全一致ではなく、育成就労に設定がない分野もあります。

② 取引中の監理団体が「監理支援機関」の許可を取るか確認する
監理団体は自動で移行しません。許可取得の方針・スケジュールを早めに確認し、代替案も含めて検討しておくと安全です。

③ 日本語要件(3段階)を育成計画に組み込む
就労開始時・1年経過時・特定技能移行時の3タイミングで日本語要件が入ります。社内OJTだけで回す前提だと、試験対応が後手になりやすいので、教育設計に最初から織り込むべきです。

④ 特定技能1号への移行は「試験合格が原則」になる前提で逆算する
試験免除を前提にした育成設計は組めません。評価試験や技能検定の受験計画、受験費用、受験不合格時のフォローまで含めて設計してください。

⑤ 送出国側の枠組み(MOC等)と手数料負担の整理
新制度では送出しの適正化が強く打ち出されており、二国間取決め(MOC)や手数料の透明化・負担の考え方が重要になります。採用ルート(送出機関・費用負担・契約条件)を一度棚卸ししておくと、直前で詰まりにくくなります。

まとめ

育成就労制度のポイントは次のとおりです。

  • 施行日は2027年4月1日(2025年9月26日閣議決定により確定)
  • 目的は「国際貢献」から「人材育成と人材確保」へ転換
  • 在留期間は原則3年、在留資格は「育成就労」(施行により新設)
  • 本人意向の転籍が一定条件のもとで認められる
  • 日本語能力要件が就労開始時・1年経過時・特定技能移行時の3段階で設けられる
  • 特定技能1号への移行は試験合格が原則(免除前提で組めない)
  • 関係省令等は2025年9月30日公布済み
  • 分野別運用方針は2026年1月23日閣議決定済み(育成就労は17分野)
  • 運用要領はOTITで公表済み(今後、更新される可能性があるため最新版確認が前提)

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