特定技能制度の概要と2026年最新の動向

日本では深刻な人手不足に対応するため、2019年に新しい在留資格「特定技能(Specified Skilled Worker:SSW)」が創設されました。これは、技術・技能を持つ外国人が即戦力として働くための制度で、技能実習制度のような「人材育成」を目的とする枠組みとは異なり、労働力確保を主目的にしています。

特定技能制度には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2区分があり、対象分野や在留期間・待遇などが異なります。

この制度は引き続き変化しているため、最新の法令や告示を確認し、行政書士や専門家への相談を通じて正しい情報を得ることが不可欠です。企業も求職者も制度を正しく理解し、適切な準備を行うことで、外国人材の活躍と企業の発展につなげることができます。

目次

特定技能1号の特徴

特定技能1号は 一定の技能水準と日本語能力を有し、即戦力として働ける外国人を対象とした在留資格です。主な特徴は次のとおりです。

  • 対象分野は16分野
    介護、ビルクリーニング、 工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業分野16分野です。
    なお、4分野(自動車運送・鉄道・林業・木材産業)は2024年に追加されたものです。
  • 在留期間は通算5年まで
    一度の在留期間は最長3年(改正前は1年)とされ、更新を繰り返して通算5年が上限です。妊娠・出産・育児や怪我・病気による離職期間は通算期間に含まれない特例があります。
  • 家族帯同は不可
    原則として配偶者や子どもを日本に呼び寄せることはできません。
  • 待遇は日本人と同等以上
    報酬や労働条件は日本人と同等以上とすることが義務づけられており、企業には生活支援や日本語教育などのサポート義務があります。
  • 要件
    各分野の技能評価試験と日本語能力試験(JLPT N4相当以上)に合格する必要があります。技能試験または日本語試験のどちらか一方だけでは認められません。

特定技能2号の特徴

特定技能2号は 熟練した技能を持ち、管理的・指導的な立場で働ける外国人を対象としています。主な特徴は次のとおりです。

  • 対象分野は11分野
    建設、造船・舶用工業、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気電子情報関連産業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業(計11分野。建設と造船以外は「リーダー」職として位置づけられています)。
  • 在留期間の上限なし
    1号と異なり更新制限がなく、無期限で働くことができます。また配偶者や子どもなど家族帯同が可能です。
  • 永住への道が開ける
    一定年数の在留と納税・社会保険の要件を満たせば永住申請が可能となります。
  • 要件
    原則として特定技能1号で一定期間就労し、さらに2号の技能評価試験に合格する必要があります。2023年に政府は2号の対象分野を大幅に拡大し、ビルクリーニングや自動車整備など11分野を対象とする方針を示しました。

特定技能1号と2号の違い

外国人採用で最初に混乱しやすいのが、「どの在留資格で、どの業務を、どの条件で受け入れられるのか」という整理です。特定技能は、人手不足の分野で即戦力として就労するための在留資格で、特定技能1号・2号の2区分があります。

この記事では、分野(1号16分野/2号11分野)、要件、企業側の義務、運用上の注意点を「判断できる形」でまとめます。

項目特定技能1号特定技能2号
対象分野16分野11分野(※1号のみの分野を除く)
在留の枠組み通算で上限5年(原則)更新の上限なし
家族帯同基本的に不可要件を満たせば可(配偶者・子)
日本語水準試験等で確認(原則)日本語試験での確認は不要
支援(生活・手続等)受入れ企業または登録支援機関による支援が必要(1号のような支援義務の枠組みは原則対象外)

制度利用の条件と企業の義務

特定技能の在留資格を取得するには、外国人本人だけでなく受入企業も要件を満たす必要があります。主なポイントは次のとおりです。

  • 技能・日本語の証明
    前述のとおり、分野ごとの技能試験および日本語能力試験に合格する必要があります。技能実習2号を良好に修了した者は、技能試験が免除される場合があります。
  • 受入機関の適格性
    企業は労働社会法令の遵守、安定した経営基盤、日本人と同等以上の待遇を保証できることなどが求められます。また、外国人の生活支援や相談窓口の設置、日本語学習支援などを行う「登録支援機関」と契約するか、自社で支援体制を構築する必要があります。
  • 更新手続き
    1号では在留期間ごとに更新申請が必要です。2025年改正により、在留期間は最長3年・2年・1年・6か月単位から選択できるようになりました。2号も3年・2年・1年・6か月単位で在留資格が付与されます。

最新改正点(2025〜2026年)

2025年に入管法施行規則が改正され、特定技能制度の運用がいくつか変更されました。

  • 在留期間の延長
    特定技能1号は従来1年更新が原則でしたが、最長3年までの在留を認めるようになりました。2号についても3年・2年・1年・6か月単位で付与されます。
  • 5年の上限の特例
    1号の通算5年上限には、妊娠・出産・育児、怪我・病気等による離職期間は含めないと明確化されました。
  • 2号への移行促進
    2号への移行を促すため、特定技能1号で5年を超えて在留できる「特例措置」が設けられました。技能評価試験で8割以上の得点を取り、再受験を続ける人は、6年間にわたり在留が可能となります。
  • デジタル化・簡素化
    申請書類のオンライン提出や省略書類の拡大など、行政手続きのデジタル化が進められています。

今後の動向と検討中の追加分野

政府は2026年以降も制度の見直しを進めており、新たに 倉庫管理・廃棄物処理(資源循環)・リネン供給などの分野を特定技能の対象に追加する方針を検討しています。これらはEC需要の拡大や環境関連業務の人手不足を背景としており、2025年の閣議決定後、2027年頃の運用開始を目指す見通しです。ただし、詳細な業務範囲や試験内容は今後決定されるため、正式な告示を待つ必要があります。最新情報は法務省や出入国在留管理庁の発表を随時確認してください。

企業と求職者が押さえておくポイント

企業側のポイント

  • 職務内容・賃金・支援体制の整理
    採用前に職務内容、給与、福利厚生、支援体制を明文化し、外国人にも分かりやすく提示することが重要です。
  • 在留資格の適合チェック
    職務内容と特定技能分野の適合性を事前に確認し、不法就労とならないよう注意します。
  • 登録支援機関との連携
    社内で支援体制を整えられない場合は、登録支援機関と契約して生活・就労支援を行います。
  • コンプライアンスの徹底
    労働基準法や社会保険法令を遵守し、ハラスメント防止や安全衛生管理にも留意します。違反があれば在留資格の更新に影響します。

求職者側のポイント

  • 日本語能力と技能試験対策
    特定技能1号取得には日本語能力試験(N4以上)と技能試験の合格が必須です。業界によっては特有の用語や技術が求められるため、早めの準備が必要です。
  • 契約内容の確認
    雇用契約書や支援計画書に記載された職務内容・給与・労働時間・福利厚生をよく確認し、不明点は企業や登録支援機関に相談します。
  • 生活支援の利用
    来日後は日本語学習や生活相談などの支援制度を積極的に利用し、トラブルや孤立を防ぎます。

まとめ

特定技能制度は、日本の労働市場を支えるために創設された重要な在留資格です。特定技能1号は16分野で5年まで働ける制度であり、技能評価試験と日本語能力試験の合格が必須です。特定技能2号は11分野のリーダー職が対象で、在留期間の上限がなく家族帯同も可能です。2025年の改正により在留期間の長期化や申請手続きの簡素化が進み、今後も対象分野の拡大が検討されています。

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